権田さんインタビュー ~ オーガニックに暮らす ~
【権田 功さん】有限会社 夢工房 株式会社 計画機構 代表取締役
一級建築士
公益社団法人 埼玉デザイン協議会 理事 寄居オーガニックカウンシル会員
植物や自然が好きで、仕事でも持続可能なものづくりや設計を心掛けている。
ー 権田さんは建築設計をお仕事にされていますが、昔からオーガニックにこだわりがあったのですか?
私自身は、長い間仕事でも持続可能なものづくりを心掛けていて、広めるための活動もしてきました。
例えば河川の開発や造成にしても、日本は基本的にコンクリートを使って工事をすることが多いんですね。
ですが、ヨーロッパ、特にドイツなどでは多自然型の河川づくりが広まっていて、私や友人は、そのような開発や造成の仕方を20年以上前から提唱してきたんです。
この「持続可能な開発」というのは当然、ものづくりだけではなくて全てに通じるので、オーガニックにも繋がっていきます。
あとは、妻と結婚したことも大きいですね。
実はそれまでは、ここまで無農薬や無添加などにはこだわってはいなかったので……。
ー 奥様がオーガニックに関心のある方だったんですか?
妻は健康について大切に考えるようになって、身体に良くないものに関してとても注意してくれます。
一緒になってから私も、有機や無農薬、いわゆるオーガニックなものに自然といっそう魅力を感じるようになりましたね。
ー ご結婚される前までオーガニックに関心がなかったというのは意外でした。
やっぱり親がご飯を出してくれるわけですし、それを黙って食べるしかないですからね。
ただ、うちは農家ではなかったですけれど、自給自足みたいな生活で、野菜も果物も家族で作ってはいました。ただ、その頃は当たり前に農薬は利用していましたけど。
ネギやじゃがいも、白菜、キュウリやナスは当然のように育てましたし、椎茸も作りましたね。家でできる野菜は一通り作っていたと思います。
今の家にも畑はあるんですけど。
ただ私は土いじりがまだちょっと苦手なんですよ(笑)。
ー そうなんですね(笑)ますます意外です
そんな権田さんが寄居でオーガニックカウンシルの創設するにあたっては、どんな経緯があったのですか?
25年位前になるでしょうか、生まれ育った東松山市から家内の実家である寄居町に移り住んだんです。
その頃に、寄居で前から有機栽培や無農薬栽培をしている皆農塾さんや男衾の方々と出会って、まちネット寄居にも加入したんですね。
2年前になるでしょうか、柴崎さんと「寄居100人カイギ」でお会いして、更に有機農業をされている、畑で働く井伊さんの姿に感動し、寄居町に「あ、今若い人も有機無農薬で野菜づくりをしている人がいるんだ」ということが分かったんです。
このままだと寄居町の有機農業は潰れてしまうかも知れないので……今までなかなか応援することができなかった分、若い方々が頑張っているなら応援したいと思って。
それで、柴崎さんや井伊さん、上田さんたちに「オーガニックの仲間づくりをしていきませんか?」と声を掛けたんです。
ー 寄居オーガニックカウンシルという名称のアイデアはどこから出てきたんですか?
カウンシルというのは「協議会」の意味なんですが、日本語のままだと堅苦しいし、少しゆるくて曖昧くらいの方がいいのではと思って提案しました。
オーガニックというと範囲が広いですが、持続可能な社会づくり全てを網羅した言葉ですし、私の原点でもあるので、合わせて仮に「寄居オーガニックカウンシル」とさせていただいたんです。
ー 寄居オーガニックカウンシルの目標はなんでしょうか
当初の気持ちは有機無農薬野菜を作っている人たちを応援したいと思ったわけで、それには有機無農薬野菜生産農家と私たち消費者、それに地元飲食店にも有機野菜を利用してもらう仲間を増やし、互いに協力し合うネットワークづくり、仲間づくりをしていきたいと思いました。
そして夢は広く大きく、私としては寄居町が、食が安全で、持続可能なまちづくりを楽しみながら暮らす人たちが集まるオーガニックな町になればいいと思っています。
寄居町の学校給食の野菜や食材も、地元で採れた有機無農薬野菜等のオーガニックなもので提供できるようになると良いですよね。
基本的に有機無農薬野菜やオーガニック製品の地産地消が良いと思うので。
ー それはいいですね
それを実現するための一歩としての仲間づくりなんですね
そうです。
ただ、こうやって寄居オーガニックカウンシルを発足しても、直ぐに仲間が集まるわけではないですし、無理をしないでゆっくり活動を楽しみながら仲間づくりをしていきたいと思っています。
ー 柴崎さんも仰ってましたが、「無理はしない」というのは皆さん共通されていますね。
そう、お互いに無理はしないように。
ー 無理をしないでも、同じ想いを持つ人がこれからもっと増えてくると良いですね
先ずは食の安全について考える人が増えていくと良いですね。
寄居町に有機無農薬で作物をつくる人がもっと増えて、有機無農薬での野菜づくり、果物づくりが盛んになって、飲食店も地元の有機無農薬野菜等を使って、みんながオーガニックな食や暮らしを楽しむ寄居町になってほしいですね。
ー まだ傷や汚れ、形が悪い野菜はスーパーの店頭に並ばないですからね
スーパーでは安くて形が綺麗なものがどうしても売れる、その意識を変えたいですね。
私の隣にいる人、周りにいる人から仲間を増やしていきたいです。
そしてもう一つの課題は、どうすれば有機無農薬で野菜づくりをしてくれる人が増えて、続けてもらえるかということ。
私は畑仕事が苦手なので、有機無農薬で野菜などを作ってくれる人がいないと、私自身も安心安全な野菜を食べられなくなっちゃいますからね(笑)。
ー それは大変重要な問題です(笑)
権田さんはオーガニックがこれまで以上に広まるには何が必要だと思われますか?
有機無農薬野菜だけに注力していてもオーガニックは広がらないとは思っています。
なので、生き方、ライフスタイルなど全てをオーガニックにつながる方向に持っていかないとですね。
ー オーガニックを核とした新しいライフスタイルの提案をしていく感じですね
そうですね。
全てオーガニックにするというふうにハードルを高くすると、オーガニックが広まる障害になってしまうと思いますので、自分の生活の中に一つでも二つでもオーガニックらしいことを取り入れて、それを楽しんでいけたら、それで良いんです。
そういう姿勢が大切と思っています。
ー 本日は貴重なお話、ありがとうございました。
ありがとうございました。
<<編集後記>>
オーガニックカウンシルのメンバーでありながら、畑仕事が苦手だという権田さん。
少し意外でしたが、こうした直接的に畑や農業に関わることのない層にも自然とオーガニックが浸透することが大切なのだと感じました。
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