初めての種まき
農民の井伊です。
雨が続き、日差しの届かない毎日です。
降らなくても困るし、降りすぎても参る。そこで人間は環境を制御しようと、施設栽培や野菜工場などを始め出しました。太陽のエネルギーを作物に変換する本来の農とは異なり、工業的な手法の作物生産は、多大なエネルギーを必要とします。
そういう対症療法的な思考の結果、どうなっているのか、各地で発生する自然災害は、何を物語っているのか、長雨のなかで考えてみようと思います。
さて、ああだこうだ言いつつ、私は農民なので、農民仲間を増やしたくて、すでに何度かご報告している「よりい週末有機農業塾」をやっています。
先日は、みんなで初めて種まきをしました。今まで育てて来たものは、農業塾の開催期間の都合上、私が種をまいて育て、それを塾生のみなさんか植えて管理してきたものです。
これからは、塾生のみなさん自身が種を選び、それをまいて育てることになります。大きく一歩、踏み出すことになるわけです。
まずは、種まきに使う土を自分達で配合します。
山の土、植物質素材で作られた堆肥、籾殻くん炭(籾殻を低温で焼いて炭にしたもの)を混ぜ合わせ、その恵みの上に種をまくのです。自然の恵みだなんていう言葉が死語になりつつある時代、実際にそれを手で触れることは、本来、人間にも備わっていた動物としての感覚を取り戻す作業でもある、そんなことを一人で感じながら、塾生のみなさんの様子を見ていました。
それから、種まきをする箱に配合した土をいれ、まき溝をつくって、そこに種をまきます。今回、まくのはキャベツです。
初めてキャベツの種をみた塾生のみなさんはやや興奮気味(?)です。
「え?こんなに種ちいさいの?」
「土の色と同じじゃーん」
小さな命を一粒ずつ指でつまみ、溝にそっと置くようにまいていきます。
「芽がちゃんと出るかな~」
それから、苗を育てる育苗場所を作りました。ホームセンターで売っている素材だけでできるやり方で、これは私が農業研修を受けていたときに教わったやり方でもあります。
教わったお礼を次の人に伝えることで恩返しをすると、次の世代が育つ、そんなことも静かに教わった気がします。
コンパネ、鉄線、防虫ネットで作った育苗場所の完成です。久しぶりの工作のような仕事に、みなさん楽しそうでした。やはり、人間は作ることに喜びを感じるのですね。
次回は芽が出たキャベツを植え替える「鉢上げ」という作業をする予定です。
それではみなさん、また来週!
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