2022-06-06

菜園みどりの 池田さんご夫妻(輪組)のインタビュー ~ オーガニックな暮らし ~

菜園みどりの 池田さんご夫妻 】

同じ農業系の出版社で働いていた二人が結婚して間もなくのこと、照手さんの実家から送られてくる野菜が美味しくて、友亮さんは「こういう野菜を作りたいな」と思って会社を辞めて、照手さんのご両親(菜園 野の扉)のところで研修して、そのまま寄居町で有機農業を始めました。ご夫妻は、「自然に合わせていく方がストレスは少ないのかも。」「ただ楽しいって頻繁に言っているよね。」と色々あっても毎日の農業の暮らしが楽しそうです。

菜園みどりの 池田さんも「よりい輪組」のメンバーです。

― 奥様は伊藤さんご夫妻(菜園「野の扉」)の娘さんなので寄居が地元となりますが、ご主人様のご出身はどちらですか。

友亮さん:函館です。

 

― お二人はどこで出会ったのでしょうか。

友亮さん:元々二人とも同じ農業系の出版社で働いていて、僕は農業の専門誌の編集者をしていました。彼女は生活系かな?

照手さん:そうですね。食や暮らしを取材して雑誌にしていました。農家向けの雑誌と消費者向けの雑誌ですね。

会社は同じですが部署が違いました。

 

― 農業の専門誌ということは、もともと農業に興味がおありだったのですか。

友亮さん:そうですね、もともと農業には興味がありました。

 

― どういったきっかけで興味を持たれたのでしょうか。

友亮さん:色々と小さなきっかけはありましたね。

高校生の頃に中村哲さんが農業用の灌漑用水を引いている話を聞いたこととか。

あとは魚柄仁之助さんという人の「台所リストラ術」という本があるんですけど、その本がすごい面白くて。

本の中で乾物を自分の家で作るとか、どぶろくを自分で作るとか紹介されていたんですよ。でも「どぶろくって作ったらダメだよな」と思ってその版元調べたら、「どぶろく宣言」とか、「どぶろくを作ろう」とかが出てきて。

照手さん:農家だったらどぶろくを作るべきだっていう。

酒税法に引っかかるけど「もともとそれは農家がやってたことだ!」みたいなちょっと変な(笑)

友亮さん:そう、ちょっと変なんですけど(笑)

でもなんだか面白そうだな、とか思って。

あと入社するとまず営業をやらなきゃいけないんですよ。

営業で全国いろんなところの農家をスーパーカブで回るんですけど、これならタダで旅行できる……という感じで(笑)

だから入社して色んな農家に会ったことで農業に興味を持つようになった、という方が大きいかもしれないですね。

 

― 実際に農業をお二人でされはじめたのは、ご結婚されてからですか。

照手さん:結婚してからすぐですね。

友亮さん:二人で暮らしている時、彼女の実家から野菜が送られてきていたんです。それが美味しくて。

「こういう野菜を作りたいな」と思って、それから会社を辞めて、彼女の親のところで研修をさせてもらいました。

 

― 奥様はご両親が農業をされている姿をご覧になっていたのですよね。やはり幼い頃から農業をされたいと思っていらっしゃったのでしょうか。

照手さん:小さい頃なので、あまり自分が本気でやろうとは思ってなくて(笑)

手伝うのもお小遣いがもらえるからみたいな感じでしたね。

 

― いずれは畑をしたいという気持ちはありませんでしたか。

照手さん:全然ありませんでしたね。大変そうだったので。

自分もその身になったので分かるんですけど、新規就農だし、代々農家とかでもないので、販路も自分で確保しないといけないですし。

普通の家と違って大変そうだなっていう印象で、自分が積極的にやりたいとは思っていなかったです。

友亮さん:でもいずれはしたいみたいなこと言ってなかったっけ?

照手さん:小さい頃は思っていなかったかな。

でも会社に入って営業回りしてたら、たくさん同じ野菜を作って、それをどかっとJAとかに出す慣行農業の農家の方が多かったんですよ。

だからそこで「あ、親がやっていたことってすごい少数なんだな」というのは改めて分かりましたね。

 

― 仕事を辞めて農業をするというのは思い切った決断だと思います。

友亮さん:農家に取材することが仕事だったので、農家の暮らしは色々見ていて。

いつかは自分もこういう暮らしをしたいなって思っていたんです。

だから別に思い切ったというつもりはあまりないですね。

照手さん:不安はありましたけれど(笑)

友亮さん:会社員の時は、もし急に放り出されたら自分の力で生きていける感じがあまりしなくて。

やっぱり農家を見ていると何でも自分で作っちゃいますし、自分の生活を自分で作っている感じがしますよね。

 

― 奥様はいかがですか。

照手さん:私は親が農業しているのを見ているので、普通の人よりちょっとハードルが低かったとは思います。

あと、私も農家を取材して「こういう暮らしっていいね」ということを発信しているわりに、夜遅くに帰ったり満員電車に揺られたりする生活に疲れ果てていて。

でも営業で農家を回っていると、おばあちゃんとかがさっと漬物を出してくれたり、

話を聞いてくれたりしてくれるんですよね。懐が広いし、それにやっぱり何でも作っているというところにも憧れがあって。

それを伝える仕事に最初は魅力を感じていたんですけど、でもやっぱり自分もそっちに行きたいなっていう思いが強くなりました。

 

― お二人の間でその思いは共有されていたのでしょうか

照手さん:行く行くは……みたいな話はしていたのかもしれないですね。

友亮さん:俺も行く行くは……なんて話をしていたかも。

照手さん:でもタイミングは難しかったですね。私は片足を編集に突っ込んだまま少しずつこっちに移動みたいな感じだったので、先に彼の方が研修に行きました。

 

― 研修はいかがでしたか。

友亮さん:やっぱり今まで見てきた農家と作り方が全然違うんですよね。

だいたい農家ってキャベツ、キャベツ、キャベツ……ブロッコリー、ブロッコリー、ブロッコリーみたいに少ない種類の野菜をたくさん育てていること多いんです。

でも伊藤家はそこに20種類ぐらい野菜があって、最初は驚きましたね(笑)

でもそうしている理由も研修を受けているうちに分かってきました。

有機農業なら分散させることによって病気のリスクを減らす、何かがダメでも何かが採れてセットができるとか。

そうやって勉強していくうちにやっぱりこの方法で農業をしたいと思いました。

 

 

― 研修を終え、実際に農業をされていてどう感じていますか。

友亮さん:楽しいことの方が多いですね。大変なときは大変だけど。

照手さん:毎日違うよね。

 

― これまでで大変だったことにはどんなことがありましたか。

照手さん:雨とか病害虫とか……野菜の出来不出来で。

友亮さん: 一番大変だったのは何だろうね……2年前の大晦日だっけ。

照手さん:ビニールトンネルを野菜にかけて防寒しているんですけど、風でトンネルが全部広がっちゃって。

友亮さん:大晦日と元旦で全部治して。

照手さん:教えてもらったのが夕方くらいで、「これから……?」みたいな。

友亮さん:辛かった……。

 

― 育てられた野菜はどう販売されているのでしょうか。

友亮さん:ほとんど個人のお客様に野菜セットで販売していますね。

― どうやって販路を確保されてるのでしょうか。

友亮さん:最初は知人とかが何軒か頼んでくれました。

あとは、元々熊谷でお客さんを増やしたいねっていう話をしていたんです。自分たちで配達できる範囲で、人口も多いし。

そうしたら、熊谷のアキモトコーヒーロースターズというお店が最初に取ってくれたんです。そうしたら色々な人に薦めてくれて。

アキモトさんのお友達が逗子の方でお料理教室をやってて、今度はそこの生徒さんの間で広がって……と。

照手さん:インフルエンサーが何人かいて、強力にプッシュしてくれる人たちのおかげで結構広まった感じです。

 

― 今、お客様は何人くらいいらっしゃるのですか。

照手さん:50軒以上ですかね。

友亮さん:野菜セットで売っているのは多いときで月に150セットくらい。毎週か隔週で。

でもまあ先輩方に比べると全然まだまだですね。

 

― 野菜セットを購入してくれた方に対して、何か工夫などされていますか。

照手さん:月イチで取ってくれるお客さんに便りを入れていますね。

畑が今こんな状況なので野菜がこうなっていてとか……そういう言い訳もちょこっと(笑)

 

― 野菜作りで気をつけていること、こだわっていることはありますか。

照手さん:美味しいものが作りたいというのは常に考えています。

友亮さん:あとお客さんに渡す時にあんまり美味しくなさそうなものは入れないとか。

照手さん:あとは家で本当に使いやすいかどうか。家庭用がメインなのでお店で映えるよりは、家で味噌汁に入れたりで使いやすい野菜。

料理に手をかけることが私たちの世代ではなかなかできないし、そんなに料理も習ってきていないから「とりあえず味噌汁に入れればいいよ」みたいなものを作りたいなというのはすごくあります。

友亮さん:あとやっぱり、料理作るときに手間をかけさせないように虫がつかないようにしていたりとか、虫食いの葉っぱや泥を取るとか。

 

― 使う人のことを第一に考えていらっしゃるのですね。

友亮さん:使いやすくて、あと美味しいものであると。

照手さん:自分たちの世代と親の世代とで少し違うところは「料理面倒だな、その辺で買った方が早いや」みたいな人の方が多いところですね。

だからできるだけ野菜に料理メモとかをつけて、見たことがなくても「こうやってやればおかずになる」と参考してもらえるように気をつけています。

 

― それは助かりますね。

照手さん:一言メモみたいなものを書いているんです。パセリも添え物じゃなくてカレーに入れるとおいしいとか。ドライカレーとかにパセリを入れちゃうんです。

友亮さん:逆にお客さんに「こういう食べ方をしよう」と教えてもらったことを書いたりもして。

でもこれも元々「野の扉」がされていて。

照手さん:そうなんです。よりマメにやろうみたいな感じで。

― すごくいいアイデアですよね。

今はお野菜だけだと思いますが、他に何か育てたいと思っているものはありますか。

照手さん:麦大豆はやりたいってずっと思っています。

でも面積が必要なのと手もかかるのですぐには始められないんですけど、いずれやりたいなと。

 

― 「これからこうしていきたい」「こうなっていきたい」などの今後の展望はありますか。

照手さん:なにかあるかな?

友亮さん:なにかあるかな……今はただ必死だよね(笑)

照手さん:そうですね(笑)今はまずちょっと軌道に乗せていきたいですね。

友亮さん:でも、花が咲いてしまって野菜がほとんど取れなくなってしまう3月の端境期に出せるようにしていくというのが近々の目標ですね。うちはハウスがないので。

一応ハウスも使わなくなった人からいくつか分けてもらえることになったので、それを建てて再来年ぐらいから、周年でお客さんに野菜を食べてもらえるようしたいです。

 

― 農家さん同士のつながりはありますか。

照手さん:輪組は月イチで集まって情報共有をしていましたね。

友亮さん:かなり助かりますね、特に僕らみたいな若手には。経験が全然違うので。

 

― お勤めされていた頃と違って農業だと休みがあるようでないと思いますが、こういった暮らしにシフトしてみていかがですか。

照手さん:雨の日にちょっと体を休めるとか、その気候に合わせてとか。

本当に疲れちゃうと休みますけど。

友亮さん:でも勤めているときも休みなかったですよ(笑)

 

― 会社などの社会的な縛りが少ないのは良いかもしれないですね。

照手さん:そうでうすね、どちらかというと自然相手なので、自然に合わせていく方がストレスは少ないのかも。

友亮さん:そうだね。自然も脅威だけど、諦めがつくしね。

 

― 大変さよりも楽しさや嬉しさが勝っている様子が今日のお話からも感じられます。

照手さん:ただ楽しいって頻繁に言っているよね。

友亮さん:うん。

 

― 池田さんが楽しまれている姿にたくさんの人が影響されて、これからの農業にも明るい光が見えてきそうです。是非これからも美味しい野菜を作り続けていただければと思います。貴重なお話をありがとうございました。

菜園みどりの 寄居町鷹巣 ホームページ https://www.saien-midorino.com

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